スッタニパータは最古のお経で、おしゃか様の教えが書かれている

日本人が、「大乗仏教の教えこそが、おしゃか様が説かれた正しい教えなのだ」と思い込んでいる間に、仏教に関して西欧から新しい動きがありました。

18世紀から西欧列強は、スリランカ・ミャンマー・タイ・カンボジア・ベトナムなど東南アジアの小乗仏教諸国を植民地化していきました。そこで原住民を統治する必要上、仏教の研究を始めました。

研究の結果、東南アジアの小乗仏教諸国で流布されているお経の中のパーリ語で書かれているものが一番古いお経だ、ということが分かってきました。おしゃか様がガンジス川流域の方言であるマガダ語で説いた教えは、近隣の別の方言のパーリ語に翻訳されました。そのお経が東南アジアに伝わり、今でも読まれているわけです。

つまりパーリ語はインドの言葉であり、パーリ語のお経はおしゃか様の教えにかなり近いと考えられるのです。その中でも『スッタニパータ』というお経が一番古い、ということで多くの学者は一致しています。

このお経は、おしゃか様がまだ生きている間に書かれた可能性もあるほど古く、おしゃか様の教えに相当近いと考えられています。このお経によれば、おしゃか様はボロを継ぎ合わせた衣を着て、食べ物を入れる鉢しか持たず、毎朝民家に托鉢に行って夕食の残りをもらい、友人も作らず、木の下にじかに寝ていました。

そして、神や仏・真如など存在することが確認できないもののことなど、考えるだけ無駄であり、ひたすら自分の心の動きをチェックするべし、と思っていました。大乗仏教の主張とかなり違うのです。

『スッタニパータ』は非常に重要なお経なので、その翻訳が何冊か出版されています。私もこのお経のパーリ語原典を苦労しながら読んでみたのですが、多くの訳書が原典を勝手に読み替えていることを発見しました。おしゃか様の教えと大乗仏教の教義が大きく違うと都合が悪い、と考えたからでしょう。

パーリ語が読める者などごく少数ですから、このような小細工をしてもばれないと思ったのでしょう。読むなら、岩波文庫の中村元訳『ブッダのことば』にしてください。

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