おしゃか様は、徹底的にものを持たない生活をした

おしゃか様は、苦から脱却することを目的とするバラモン教を、二つの点で改革しようとしました。一つは、ブラフマンなど実際に存在するかどうか分からないものは考えるだけ無意味だ、ということです。二つ目は、人種差別を否定し有色人種も僧侶になれる、としたことです。

おしゃか様自身は、バラモン教を改革したと思っていて、新しい宗教を作ったなどとは考えていませんでした。しかしバラモン教からすると、二つの違いは教えの根幹にあたるので、決して容認できるものではありません。結局、おしゃか様の教えはバラモン教から敬遠され、徐々に別の宗教の扱いを受けるようになりました。

おしゃか様は非常に豪快な方で、目的達成のために必要なことを理詰めで考え、それを断固として実施しました。苦を滅するためには、ものを持たず、持ちたくなる気持ちがわき起こるのを未然に防げばよいのです。

そこで、ものを持たないというやり方を徹底し、布施してもらった食物を入れる鉢だけを持ち物とし、捨てられていたぼろ布をパッチワークに縫い合わせて作った服を着ただけの姿になりました。

人里離れた洞窟か大きな木の下に住み、早朝に人里に行って前日の夕食の残り物を貰って午前中に食べるという一日一食を実践しました。午後になると残り飯が腐るので、もらったら早く食べなければならないのです。

住む小屋などなく寝具も持たず、夜になったら地面にじかに寝るのです。友人といえども無くなったら苦を感じる「もの」なので、誰とも友達づきあいをしませんでした。村に托鉢に行ったときも、村人とは親しくしないようにしました。

ものすごい生活ですが、「スッタニパータ」という最古の経典にこのような有様が書かれています。岩波文庫に『ブッダのことば』(著者は、中村元という非常に優れたインド哲学者です)というタイトルで翻訳が出ているので、興味がある方は読んでください。

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