誠は必ず通じると考えて、日本は外交上の失敗を重ねている

日本人は、近代になるまで誠の考えを持たない異民族とほとんど接触をせず、日本人どうしで誠を通じ合ってきました。そのために「誠意は必ず通じる」と思ってきました。

また、日本には大乗仏教の伝統がありますが、大乗仏教は個人個人の違いを否定し、人間はみなまったく同じだと教えます。肌の色・言葉や宗教などが違っても、それは表面上だけで、本当はみな同じだと考えているのです。

さらに日本に伝わった大乗仏教は、「人間は、本当は仏様であり、全ての人の心の底は清らかだ」という教えです。この仏教の教えも、「誠意は必ず通じる」という考えを助長しました。

キリスト教を信仰しFreedomの考え方をする欧米人は、有色人種や異教徒は自分たちと違うと考えるので、有色人種や異教徒の相手をよく観察します。これに対して、誠の心を持つ日本人は、相手を疑わず相手も自分たちと同じように考えると誤解しています。

その結果、アメリカ人専門家の日本に対する知識と日本人専門家のアメリカに対する知識を比較すると、アメリカ人専門家の知識の方がはるかに質が高いです。日本人の外交下手は、こういうところに原因があります。

「誠意は必ず通じる」と考えて、日本は東アジアでも失敗しました。明治初期の日本は欧米列強から圧迫されていたので、支那や朝鮮と同盟を結んで対抗しようという大アジア主義の考え方が日本人の間で生まれました。

大アジア主義の根拠になったのは、「日本人と支那人や朝鮮人は同じ人間なのだから、同じようなことを考えるはずだ。日本人が欧米列強の圧迫をはね返すために国家の体制を変え近代化を推進しているから、支那や朝鮮も同じことをするはずだ」という勘違いでした。

日本人はこのような誤解の上に東アジア戦略を考え、日本人が誠を尽くせば支那や朝鮮も日本に対して誠を尽くすはずだ、と考えました。しかし実際は、支那や朝鮮は反日政策を採って、日本からさらに多くを得ようとしているだけです。「同じ人間だから、相手も誠の心を持っているはずだ。だから誠は必ず通じる」と考えるのが、誠の最大の弱点です。

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