欧米の人種差別は、日本人にはどうしようもない

日本は幕末以来、欧米列強の人種差別に苦しめられてきました。不平等条約を押し付けられたのも、人種差別のためです。日清戦争で日本が勝って山東半島を支那から割譲されましたが、その後に独仏露の三カ国から干渉を受け、山東半島はロシアのものになってしまいました。こんな理不尽な干渉は白人の国家間ではありえません。

大正時代になると、アメリカは日本を人種差別して、日本人の移民の受け入れを拒否しました。このような苦い経験から、第一次大戦後のパリ講和会議で、日本は「人種差別撤廃」を提案しましたが、白人諸国によって拒否されてしまいました。

欧米諸国、中でもアメリカが人種差別を表面的にではあれ撤廃したのは、大東亜戦争から20年近く経った20世紀の後半です。別に日本の抗議の結果ではなく、欧米諸国の内部的な事情からでした。つまり、人種差別を撤廃しグローバルな世界を作るほうが、大企業が儲かると考えたからでした。

人種差別というのは、白人の間で湧き起った感情的な行為で、キリスト教の信仰という宗教的な背景もあります。それを宗教的背景が違うだけでなく、白人にとってよそ者の日本人がなんとか変えようとしてもほとんど無力です。

最近になって欧米でまた人種差別の傾向が強くなってきましたが、それは人種差別を撤廃したことで一般の国民が損をしたことを悟ったからです。このように欧米社会で人種差別が強まったり弱まったり変化しているのは、彼ら内部の事情の変化によるもので、日本の努力とは基本的に無関係です。

今後欧米では人種差別がまた盛んになるということを前提にして、日本人はどのように対処すべきかを、考えていく必要があります。大乗仏教の発想から「人種差別などあってはならない」と無邪気に抗議にしても、さして効果があるとも思えません。

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