奴隷解放後、かえってアメリカの人種差別が激しくなった

キリスト教は、「イエス・キリストと同じ正しい心を持っているか否か」という判断基準を重視します。正しい心を持っていない者に対しては、「自主的に判断させるのではなく、強制的にやらせる」という積極的自由の考え方を適用します。黒人は、まさにこのように扱われ奴隷にされたわけです。

19世紀後半には、アメリカの北部で産業革命が進行し、資本家たちは黒人奴隷を労働者に使おうとしました。ところが奴隷労働は効率が悪く、または所有者の許可がなければ雇うこともできません。このような経済的な理由と、黒人もイエス・キリストと同じ心を持つことができると考えるキリスト教の一派の運動が結合して、奴隷解放運動が起きました。

南北戦争によって黒人奴隷が解放され、奴隷解放運動の初期の目的が達成されると、アメリカ人は黒人問題に急速に興味を失ってしましました。そして、黒人はイエス・キリストと同じ心を持てないように神によって作られているという予定説が、勢力を取り戻してきました。

アメリカに来た最初の移民はイギリス系で、次いでドイツ人など北欧系が来ました。その後にイタリア系やアイルランド系が続き、最後に東欧のスラブ系の白人が来ました。先にやってきた移民は、後からやってきた白人移民を激しく差別しました。

アメリカでは、白人が黒人を差別するだけでなく、アメリカにやってきた順番で白人が白人を差別していました。肌の色や顔かたちは同じでも、服装や習慣によってどの民族か容易に判断できたのです。

ところが19世紀末になって商品経済が盛んになり、みんなが大量生産した同じものを買うようになりました。その結果、白人はみな同じような家に住み同じ服装をするようになり、外観から出身民族を判断できなくなりました。

白人が一体化して白人同士の差別が薄らぐにつれて肌の色の違いに注目が集まり、白人が黒人を従来よりも激しく差別するようになりました。南北戦争で奴隷が解放された後、かえって人種差別が激しくなったのです。この頃、日本人もアメリカに移民するようになりましたが、白人たちに激しく人種差別されました。

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