日本国憲法がなくても、大して困らない

敗戦によって日本は独立を失いました。日本人はアメリカ軍による日本の占領に抵抗せず、それを受け入れました。大日本帝国憲法の基礎となった「独立した日本人」が存在しなくなったので、その瞬間に大日本帝国憲法は消滅しました。現在の日本の憲法学者も、この結論に異論はありません。

一方、日本国憲法は成立していません。では、今の日本には憲法というものが、一切存在しないのでしょうか。そうではありません。紙に書かれた成文憲法典はありませんが、実質的な憲法はあります。国民の腹にずっしりと入っている考え方が実質的な憲法ですから、それを探し出せば良いのです。

大東亜戦争の最終期、日本とアメリカは日本の降伏条件を交渉していました。アメリカは天皇制の廃止を絶対的な条件としていましたが、日本はこれに断固として反対し、その結果戦争終結の時期がかなり遅れたほどです。結果的に日本全体の抵抗によって、天皇制の維持が決まりました。これから判断して、天皇陛下が日本の元首だということは、国民の腹に入ったままであり、実質的な憲法の一部になっています。

大日本帝国憲法は、三権分立と国会の設置を規定していました。以後130年近く、三権分立の制度は中断することなく継続しています。国民もこれに疑問を持っていないので、実質的な憲法に含まれていると、判断できます。従って、国民の選挙によって選ばれた国会議員は実質的な憲法によって、その身分を保障されています。

国会の第一党に所属する国会議員が総理大臣になるという「議院内閣制」は、大日本帝国憲法には規定されていませんが、大正時代に慣習として認められ、実質的な憲法の一部になりました。昭和初期にこの制度は一時無視されましたが、戦後に復活し今はほとんどの人がこれに疑問をもっていません。従って議院内閣制も実質的な憲法の一部になっています。現在の首相もこの制度によって選ばれているので、実質的憲法によりその地位を保障されています。

このように日本国憲法は成立していませんが実質的な憲法が機能しているので、現実の政治面では、さほど大きな問題は起きていません。

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