アメリカの支配層は、人種差別をなくそうとした

南北戦争によって奴隷制度が廃止されてしばらく経つと、アメリカではかえって人種差別が激しくなりました。奴隷制度が廃止され黒人がアメリカ市民となったのだから、法的には彼らも白人と同じ権利を持つはずなのに、色々と理由を付けて黒人に選挙権や被選挙権を認めようとしませんでした。

植民地時代のアメリカでは、信仰心の篤いクリスチャンが植民地議会の議員に選ばれていました。彼らはフリーマンと呼ばれていて、隣人を助けるために植民地の世話役として政治活動をしていました。この名残でアメリカでは今でも、政治とはキリスト教の教えを実践することだ、という考えが根強くあります。

黒人は正しい心を持つ素質がないので、隣人愛の行為を行うことができないと予定説に基づいて考えられたので、奴隷解放後の長い間、黒人には選挙権も被選挙権も認められていませんでした。

黒人が選挙権や被選挙権を認められたのはベトナム戦争中の1965年で、奴隷制度が廃止されてから100年も後のことでした。黒人が第二次世界大戦やベトナム戦争に従軍しアメリカのために血を流した、ということが評価された結果でした。

しかしそれだけではなく、アメリカの支配層が人種差別を積極的に無くそうと努めたことが、より大きな原因でした。黒人の大学進学率が低いことを是正しようとして、黒人枠を設けることまで行われました。この結果、白人が入試で落とされたのにそれより低い得点で黒人が入学するという現象が起き、裁判にまでなりました。

このような人種間格差の是正は、政府部門だけでなく民間企業にも及びました。取締役会のメンバーに黒人が一定の比率で入るようになったのです。そしてついには、黒人の大統領まで登場しました。ここまでくると、わざとらしさを感じてしまいます。

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