アメリカは、キリスト教の勢力が強いから、人種差別をする

今まで、キリスト教は異教徒を差別する、ということを説明してきました。ところが、同じキリスト教徒であっても、白人のキリスト教徒は有色人種のキリスト教徒を差別します。実はキリスト教の教義の中に人種差別のもとになる考え方があるからです。そこでアメリカを例にして、なぜキリスト教は人種差別をするか、を説明します。

アメリカ社会は、かつては黒人を奴隷にしていて、今でも激しく人種差別しています。これに対して遠いにほんから「人種差別は不当だ」などと批判しても、効果はありません。アメリカの動向は日本にも大きな影響を与えますから、冷静になってその理由を調べなくてはなりません。

普通の人間は、いくら肌の色が違うとはいえ、人間を奴隷にすることには抵抗感があります。だから人間を奴隷にしたり差別したりするには、「あいつらはどうせ野蛮人なのだ」とか「我々の奴隷になったほうが、彼らにとっては幸せなのだ」などという、自分を納得させる理屈が必要になります。欧米では、キリスト教がこの役割を果たしました。

西欧にも黒人奴隷がいましたが、19世紀の初めごろから徐々に奴隷制度廃止の方向に向かいました。啓蒙思想の影響を受けて、19世紀の西欧ではキリスト教の力が少し弱くなり、それに伴って差別意識がやわらいだからです。

ところがその頃のアメリカでは、逆にどんどん黒人奴隷が増えていきました。アメリカではキリスト教の勢力が衰えていなかったからです。もちろん黒人奴隷を必要とする経済的な必要があったからですが、キリスト教を無視しては問題の核心に迫ることができません。

アメリカは今でも、西欧諸国よりも人種差別の度合いが激しいです。それはアメリカの方が西欧諸国よりキリスト教の勢力が強いからです。そこで最初に、なぜアメリカではキリスト教の勢力が強くなったのかを、説明します。

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