サンプル数が2体だけでは、研究とは言えない

NHKの「サイエンスZERO」で、2016年4月に「日本人のルーツ発見! 核DNAが解き明かす縄文人」という番組が放映されました。この番組は、「現代日本人が縄文人から受け継いでいるDNAは20%にすぎない」というウソを、印象操作をすることによって視聴者に刷り込もうとした番組です。

この番組の基になった研究で縄文人のDNAを抽出した人骨は、男女1体ずつの2体だけなので、サンプル数が少なすぎます。この人骨は福島県の三貫寺遺跡から採掘したのですが、そこには150体以上の遺骨がありました。さらに日本全国におよそ9万の縄文遺跡があります。その中から2体だけを調べるというのは、科学的研究の名に値しません。

だから番組解説者の斎藤教授は、「縄文人はそれほど均一ではないことが分かってきた」と逃げ道を用意したわけです。どうやら斎藤教授自身も、「最初から結論ありき」の番組だと分かっていたようです。そもそもなぜ20%と判断したのかという説明は、一切ありませんでした。

今から50年前に私は学校で、日本の古代は非常に未開だった、という趣旨のことを教わりました。その内容は下記です。

「2300年前に支那や朝鮮から渡来人がやってきて日本に稲作を持ち込み、弥生時代になった。彼らがやってきたときの日本には縄文人が住んでおり、農業を知らず山や川で狩猟と採取を行って貧しい生活をしていた。渡来人は農業技術と高度な文明により縄文人を駆逐した。今の日本人は渡来人の子孫で、縄文人の血は、わずかに東北や沖縄に住んでいる日本人に混じっている程度である」

今から考えると自虐的な歴史認識で、私などは何となくこの説明を納得しませんでしたが、子供だったので反論する知識もなく、そのまま大人になってしまいました。

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