皇位継承戦争

日本でも外国でも、過去に王位を巡る戦争がたくさん起きました。日本では、672年に大海人皇子と大友皇子が皇位を争って壬申の乱が起き、14世紀に皇統が二つに分かれて南北朝の争いが起きました。

日本の皇位継承戦争の特徴は、外国が介入しなかったことと、女性が皇位を要求することがなかったことです。日本は鎖国していたし、一夫多妻だったので皇位継承の資格のある男性が多かったためです。

西欧も皇位継承戦争が多かったですが、外国が介入し女性が絡んでいます。14世紀から100年以上続いた百年戦争は、フランス王シャルル4世が子供を残さずに亡くなったことから始まりました。シャルル4世の従弟が王位に就きましたが、シャルル4世の妹の息子であるイギリス王が異議を唱えたのです。男女の違いを別にすれば、イギリス王の方が血統的にはシャルル4世に近いのです。

18世紀半ばには、オーストリア継承戦争が起きました。オーストリア(神聖ローマ帝国)皇帝のカール6世には息子がいなかったので、娘のマリア・テレジアに皇位を継がせようとしました。オーストリアは女性の皇帝を認めていなかったので、カール6世は娘に帝国を継がせようとかなりの無理をしました。そのためにカール6世の死後、本来ならばオーストリア皇帝になるはずのドイツの諸侯が異議を唱え、それに外国勢力が介入して大変なことになりました。

この戦争は8年間続き、オーストリア・イギリス・フランス・ロシア・プロイセン・スペイン・オランダ・スウェーデン・ドイツ諸国・イタリア諸国が戦争に加わったほか、戦場がアメリカ大陸やインドにまで及びました。