カラカラ帝は、宇宙人だった

カラカラ帝は、交戦している敵国の王女に結婚を申し込み、断られました。
「敵国の王女に結婚を申し込むとは、この男はローマの国益をどう考えているのだ」とローマ人は驚愕しました。そして警備隊長がカラカラ帝を斬殺しました(西暦217年)。

カラカラ帝は現実を考慮せず、自分が理想だと勝手に考えたことを強引に実現しようとし、やることなすことが失敗に終わりました。まるで東シナ海を「友愛の海」にしようとした鳩山由紀夫そっくりです。

カラカラ帝の失策によってローマ帝国は、国家の構造を大きく歪められ、以後帝国はガタガタになりました。彼の失策の最大のものが、属州の全ての自由民にローマ国籍を与えたアントニヌス勅令です。

従来からローマ国籍を持っていた者たちは、この勅令によって「帝国の柱は自分たちだ」という気概を失ってしまい、「誰でも同等なのだから、自分たちが率先して苦労することはない」と考えるようになりました。

元老院議員は伝統的なローマのエリートで、帝国の文官と武官の職を交互に経験して政治的能力を高めていました。しかしこの勅令の後はやる気をなくし、辺境での厳しい軍隊勤務をいやがり、快適な首都での生活ばかりを求めるようになりました。

属州民に生まれ努力の末にローマ国籍を獲得した野心家たちは、偉大な国民の仲間入りをしたという感激から、ローマの役に立とうという気持ちを多く持っていました。しかしこの勅令後属州民はただで国籍を取得したわけで、何の感激もなく帝国を背負う気持ちは生まれませんでした。属州税を払う必要はなくなりましたが、その代わりに別の税金が徴収されるようになり、政府は国民の信頼を失いました。

結局、国民の平等という理想を掲げたアントニヌス勅令を誰も歓迎せず、皆のやる気をなくし、帝国を崩壊に導いただけでした。

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