人間がロボットに滅ぼされるという説

AIの技術が向上することによって、いろいろな問題が起こってきますが、最初に「AIを搭載したロボットが人間を滅ぼしてしまう」という問題を考えてみます。

このような話はSFそのもので、とてもまじめな話とは思えません。ところがこのようなことを本気で心配している人の中に、超有名人がたくさんいるのです。ブラックホールの研究で有名な宇宙物理学者のホーキング博士や世界一の大富豪であるビル・ゲイツなどです。

カーツワイルは、「AIを搭載したロボットが人間を滅ぼしてしまう」と熱心に説いています。彼は一般にはあまり有名ではありませんが、スキャナーやシンセサイザーを発明した有能な発明家です。彼は現在グーグルに雇われていて、AI開発の総責任者をやっています。

また彼の未来予測には定評があり、「1998年にAIがチェスで名人を破る」と予測して当てています。彼の未来予測は様々な分野の最先端の研究成果に基づいていて、決していい加減なものではありません。

このようなわけで、「AIを搭載したロボットが人間を滅ぼしてしまう」という説は、SFのようでにわかには信じがたいのですが、主張している人たちが凡人ではないので、それなりの影響力を持っているのです。

私も人間の未来について少し心配になりましたが、その一方で「AIを搭載したロボットが人間を滅ぼしてしまう」という説の矛盾にも気づきました。グーグルやアマゾンなど巨大IT企業の創業者たちは、自分たちの会社でAIの開発に熱中しながら、その一方で「AIが暴走して人類は滅亡してしまうぞ」と声高に叫んでいます。

本当にAIが人類を滅ぼすのだったら、これらのIT企業で働いている技術者が黙っていません。彼らがAI開発の中止を求めて騒いでいないということは、この説がインチキである可能性が高いということです。