自由主義経済

20世紀に入った頃から、アメリカを中心にして経済的自由の考え方が次第に強くなり、「儲かることは良いことだ」と考える風潮が出てきました。

自由という考え方は、もともと宗教改革後にプロテスタントの信仰から生まれたもので、「イエス・キリストと同じ正しい心で考えたことであれば、世俗のルールを無視しても良い」というものでした。

この自由を様々に解釈することにより、人種差別を肯定する積極的自由の考え方や言論の自由などを主張する消極的自由など、様々な自由の解釈が出てきました。

「良い商品を適正な価格で売れば他人は喜ぶ。だからこれは、イエス・キリストの教えである隣人愛の行為だ」という解釈も出てきました。良い商品はよく売れるから、それを売った人は儲かります。そこから逆に、「儲かっている人は、良い商品を売ることによって隣人愛の教えを実践している。だから彼は、正しい信仰を持っている人である」ということになってしまいました。

さらに、「良い商品を売るという隣人愛を行うためには、既存のルールを打ち破っても構わない」ということになり、社会の慣習・法律・宗教的な掟などを次々と壊して事業の拡大を図ることが正しい、という考えになっていきました。これが経済的自由主義です。

自由主義経済学の牙城であるハーバード大学は、もともとはメイフラワー号に乗ってイギリスからアメリカにやってきたプロテスタントが作った神学校です。このことからも、経済的自由主義とキリスト教が深く関係していることが分かります。

儲けを増やすためには、市場を地球規模に広げる必要があります。そこで、国境・宗教の違い・民族の違いを認めず、世界中が同じ考え方をするべきだという世界のグローバル化が正しいのだ、と自由主義経済論者は主張しました。