民族自決

第一次世界大戦後に、国際連盟の原則になるなどして、民族自決が世界的に認められるようになって今に至っています。民族自決は、その民族の運命はその民族自身で決める、という考え方です。この原則は、「個人はバラバラに存在しているのではなく、民族という共同体に所属しており、各個人は所属する民族と運命を共にする」という考え方です。

一つの民族が自ら選んだ道なのだから、その結果が悲惨なことになっても他民族に責任をおしつけるわけにはいかず、自分たちでその問題をなんとか解決しなければなりません。

民族自決は、脳科学の研究結果とも一致します。人間は社会的動物です。一人では敵に対する防御が十分でなく、食料を得るのも難しいので、人類は遠い昔に集団を作って生き抜く決意をしました。そして集団化に有利な仕組みを作り上げていきました。

仲間を大切にして互いに助け合っていこうという道徳や宗教を作り上げた他に、体もそれにふさわしく進化させました。その進化の一つがミラー・ニューロンです。ミラー・ニューロンは下等動物の脳にはありません。チンパンジーなどの類人猿にもごくわずかにありますが、人間はその数を驚異的に増やしました。ミラー・ニューロンは、相手のしぐさや表情、声の調子などから相手が何を考えているかを察知する脳細胞です。人間はミラーニューロンを駆使して、仲間との結束力を強化しています。

このように人間は集団で生きていくことを運命づけられていますが、民族によって集団の作り方が違います。

欧米のキリスト教徒や日本人は、自由や誠の考え方に従い、肉親ではない他人も仲間と考えて、互いに助け合う大きな集団を作ることに成功しました。支那人は、宗族という小さな集団の中で結束を固め、それ以外の他人にはあまり関心を持ちません。

一つの民族が自分たちの運命を良くしようとするならば、自ら集団の作り方を変えて民族の結束を強くしなければならず、他民族が援助できるようなことではないのです。民族自決とは、民族の運命を改善できるのはその民族だけだという意味でもあります。