アメリカでも振り子が戻りつつある

アメリカは自由の国ですが、自由の内容は時代と共に変遷しています。移民が始まった当初は、「イエス・キリストと同じ心を持った人」でなければ、まともに扱ってもらえない積極的自由の時代でした。

魔女狩りで女性が焼き殺されたこともあったし、黒人は奴隷でした。白人男性でも人に雇われた者は、「人の意見に左右され、確固たる心を持てない者」として、公職に就けませんでした。みなに奉仕するという隣人愛の行為などできないと考えられたからです。

19世紀になって消極的自由の考え方が出てきて南北戦争が起こり、奴隷は解放されましたがすぐに反動がきて、黒人から参政権が取り上げられました。

20世紀に入っても、「キリスト教を信じない野蛮人を教育してやる」という態度で、日本・ナチスドイツやベトナムと戦争をしました。

ベトナム戦争によってアメリカ社会のストレスが大きくなり、やっと消極的自由が強くなりました。女性の権利、黒人参政権の運動が高まり、ヒッピーが現れて性道徳などあらゆる社会的ルールを破壊しようとしました。

レーガン大統領の時に一度反動がありましたが消極的自由の勢力拡大はその後も続き、ついに行き着くところまで来ました。「メリー・クリスマス」と友達同士であいさつできなくなったのです。「この挨拶は、キリスト教以外の宗教の自由を侵すことになるからいかん。ハッピーホリデイと言え」となったのです。

振り子が一方に上がりきって、元に戻りだしたのが今のアメリカです。トランプさんの選挙キャンペーンの一つが、「アメリカをメリー・クリスマスと言える国にしよう」でした。

トランプ大統領の出現は、アメリカの自由の変遷を踏まえたうえで考えなければならない、と私は考えます。元に戻りだした振り子は次第に加速度がつくはずです。

自由の解釈が昔に戻れば、人種差別が強くなるかもしれません。

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