天皇陛下は神と日本人の間の仲介者

古事記や日本書紀などの古典をよく読んでみると、日本の守護者は天照大神だと主張している事が分かります。天照大神は、その霊的能力によって日本の安全と繁栄をもたらしているのですが、ご本人は「高天原」という天空のどこかに住んでいらっしゃいます。

そこでご自分の孫である瓊瓊杵尊(ニニギのミコト)を、日本に派遣し(天下り)、ご自分と日本人との仲介者としました。さらにこの仲介者の役目を、ニニギのミコトの子孫に受け継がせました。ニニギノミコトの子孫が、今の天皇陛下なのです。

つまり、天皇陛下は自分の判断によって日本を統治するのではなく、天照大神の意思の受信者という存在なのです。では、どのようにして天照大神の指示が天皇陛下に下るかというと、神事を通してなのです。

つまり、天皇陛下は神主であり、もっとはっきり言えば霊媒なのです。宮中の神殿で神を祀っている時に、天照大神から天皇陛下にさまざまな指示が、啓示という形で降りてくるのです。そこで天皇陛下はその啓示を、諸大臣に告げるのです。

天皇陛下の発言を「ミコトノリ」と言います。ミコト(御言)は天照大神の言葉を指します。ノルとは、上位者が下位者に意思を伝える、という意味です。まさに、天照大神の言葉を諸臣に伝えるのが天皇陛下の役割であり、ミコトノリを受けた諸臣は、その言葉を実務化するわけです。

天皇陛下の役割は、神と日本人の間を仲介することであり、役人の先頭に立って日本を実際に統治することではありません。従って、建武の中興や王政復古(明治維新)の考え方は、必ずしも日本の伝統の本流ではないのです。

余談かもしれませんが、天照大神の言葉を受信できる能力を持っている者は、父親が皇室の一族の者だけである、というのが日本の伝統的な考え方です。従って女系天皇(父親が皇室の一族ではない男女)は、天照大神の言葉を受信できないという欠陥があります。

敗戦後の74年間、大日本帝国憲法の考え方を学校で教育されていないので、ほとんどの日本人は、天皇陛下に対する伝統的な考え方に戻っているように見受けられます。すなわち、天皇陛下は日本を統治するという実務をするのではなく、日本の安全と繁栄を神に祈り神の言葉を伝えるのが務めだ、と多くの日本人は考えています。

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