神様を召使いにする考え方

敵の大軍がイスラエルに襲来するという予言を否定して福音派と激論をしなくても、それがいつ起きるのかを問えば、福音派は答えることができません。聖書の予言というのは、この程度のものなのです。

また福音派の主張にはもう一つの問題点があります。彼らがイスラエルを支援するのは、「神の計画に自分たちも参加したい。聖書の予言を早く実現させたい」と願っているからです。しかしこのように考えるのは、キリスト教の信仰に反するのです。

キリスト教の神は万能で、宇宙や地球・野山や動植物を作り最後に人間を作りました。神が万能で何でもできるということは、神は外部からの圧力に一切影響を受けないということです。

神が「お金が欲しい。病気が治って健康になりたい」という人間の願いを無視できずに聞き入れたとしたら、神の意思はその人間によって制限されたということになり、万能ではなくなります。キリスト教は、「神が自分の願いを聞き入れてくれない」と人間が不満を言うのを非常に嫌い、このような考え方を「神を人間の召使とする誤った考え方だ」と批判しています。

神は、何時かは敵の大軍にイスラエルを攻撃させ、イスラエルに反撃させるとしても、自分の望む時に行うはずです。その時に敵味方双方が戦うわけですが、神がそのように決めるだけで、人間の予測や願望には影響されません。

ところがアメリカの福音派は、自分たちで勝手にその時期を推測し、「早く戦争が起こって、神の国が来てほしい」という自分たちの隠れた欲望に従っているだけです。アメリカの政府に圧力をかけて、戦争に気運を煽り、神に対して影響を与えようとしています。これは、「神を人間の召使とする考え方」の一種です。

「アメリカ全体からしたら少数派の福音派の考えに従って、アメリカを戦争に引きずり込む危険のある政策を行っても良いのか」「そもそも、神に対して自分たちの勝手な願望を押し付けることが許されるのか」と、福音派に反省を促すことは可能なのです。

以下はひと続きのシリーズです。

6月28日 「イラン核合意」は中途半端

6月29日 イランは本気でイスラエルに対抗している

6月30日 イランは、中東のリーダーになろうとしている

7月1日 ユダヤ人もアメリカ人も、同じように、神から約束された地に移住した

7月2日 アメリカの正副大統領は、聖書に書かれていることはすべて本当だ、と信じている

7月3日 中東で大戦争が起き世界を大災害が襲った後神の国が現れる、と多くのアメリカ人が信じている

7月4日 アメリカがイスラエルを支援しているのは、宗教的な理由から

7月5日 イランとアメリカの間を仲介できるのは、日本だけ

7月6日 アメリカとイランの対立は宗教対立である

7月7日 「Bチームが日本のタンカーを攻撃した」という説がある

7月8日 イランの革命防衛隊がタンカーを攻撃した可能性もある

7月9日 イランの安定は、日本にとって非常に重要である

7月10日 ハメネイ師は、安倍総理と今後も話し合いを続けることを望んだ

7月11日 イランとアメリカの主張には、それぞれ弱点がある

7月12日 イスラム教によって中東をまとめることは、できない

7月13日 聖書の預言がいつ起きるのかは、分からない

7月14日 神様を召使いにする考え方

7月15日 アメリカでは、外国人も意見を述べることができる

7月16日 日本もそろそろ他国の世論を誘導する技術を磨いたほうがいい

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