アメリカとイランの対立は宗教対立である

アメリカとイランの間の仲介について書く前に、その前提となる事実関係を述べようと思います。具体的には、イランの国家組織とホルムズ海峡で日本のタンカーが攻撃を受けた件についてです。

イラン・イスラム共和国の元首は、ラフバル(最高指導者)です。国家組織の全ての最高責任者であって、その権力はアメリカの大統領よりはるかに強大です。これに比べてイラン・イスラム共和国の大統領は、最高指導者の指示・監督を受けて行政府を司っているだけで、日本で言えば麻生副総理のような存在です。

最高指導者は、間接選挙で選ばれます。まず、国民の直接選挙で、最高指導者を選出する委員86人を選びます。この委員はだれでもなれるわけではなく、イスラム法学者の資格を持っていなければなりません。この最高指導者選出委員会が、最高指導者を選びます。

イランには軍隊が二つあります。一つは約35万人いる国軍で、イランの大統領が統率しています。革命前からあるため、革命勢力から見たら完全には信用できません。そこで別にイスラム革命防衛隊を作りました。ミサイル部隊など国軍よりもはるかに高度な装備をした精鋭部隊で、陸海空の三軍があり、全部で12万人います。このイスラム革命防衛隊は大統領の指揮下にあるのではなく、最高指導者直属なのです。

国家組織から見ても、イラン・イスラム共和国はイスラム教の強固な信仰を持った勢力に支配されていることが分かります。これと敵対しているアメリカは、キリスト教福音派の信仰を持つ正副大統領に支配されています。つまり、アメリカとイランの対立は、宗教の対立なのです。

安倍総理がイランの最高指導者であるハメネイ師と会談した6月13日に、イランの沖のホルムズ海峡で、日本の船会社が運行しているタンカーが攻撃を受けました。タンカーが受けた被害は小さく、爆発や沈没はしていません。攻撃者はタンカーを沈没させようとしたのではなく、何らかのメッセージを日本に伝えようとした、と推測できます。

軍事専門家は、この攻撃は海賊やゲリラが出来るようなレベルではなく、正規の軍隊のような高度な能力を持った集団がやったのだろう、と推定しています。

以下はひと続きのシリーズです。

6月28日 「イラン核合意」は中途半端

6月29日 イランは本気でイスラエルに対抗している

6月30日 イランは、中東のリーダーになろうとしている

7月1日 ユダヤ人もアメリカ人も、同じように、神から約束された地に移住した

7月2日 アメリカの正副大統領は、聖書に書かれていることはすべて本当だ、と信じている

7月3日 中東で大戦争が起き世界を大災害が襲った後神の国が現れる、と多くのアメリカ人が信じている

7月4日 アメリカがイスラエルを支援しているのは、宗教的な理由から

7月5日 イランとアメリカの間を仲介できるのは、日本だけ

7月6日 アメリカとイランの対立は宗教対立である

7月7日 「Bチームが日本のタンカーを攻撃した」という説がある

7月8日 イランの革命防衛隊がタンカーを攻撃した可能性もある

7月9日 イランの安定は、日本にとって非常に重要である

7月10日 ハメネイ師は、安倍総理と今後も話し合いを続けることを望んだ

7月11日 イランとアメリカの主張には、それぞれ弱点がある

7月12日 イスラム教によって中東をまとめることは、できない

7月13日 聖書の預言がいつ起きるのかは、分からない

7月14日 神様を召使いにする考え方

7月15日 アメリカでは、外国人も意見を述べることができる

7月16日 日本もそろそろ他国の世論を誘導する技術を磨いたほうがいい

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする